【賛否両論】BCAAは運動時に必要?ダイエット効果は?飲むタイミングは?を詳しく解説
はじめにBCAAの3つの特徴
バリン、ロイシン、イソロイシンの3種類の必須アミノ酸を総称してBCAAと呼ぶ
運動時における筋肉への負担と疲労感を軽減する
ジョギングや筋トレを行う人にとっては定番の人気サプリ
BCAAとは?
BCAAとは分岐鎖アミノ酸(Branched Chain Amino Acid)のことで「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の3種類の必須アミノ酸を指します。枝分かれするような分子構造をしていることから分岐鎖アミノ酸と呼ばれています。筋肉中に存在する必須アミノ酸のうちBCAAは約35%を占めるとも言われます。
BCAAは食品中に豊富に含まれているので日常生活において不足することはないと考えて良いものですが、運動時に大量に消費されるため、特にアスリートに愛用されています。BCAAは筋肉中に比較的多く存在しており「筋肉を作り、疲労回復を早める」ことの一助となるとされます。
また、アスリート以外でも「最近疲れやすい」「運動後に疲れが残らないか心配」という人にもBCAAは有用です。下記でBCAAの効果を見ていきましょう。
BCAAの効果
運動中の筋肉消耗の低減
運動時には糖や脂肪が分解されてエネルギー源として用いられますが、それらが足りなくなると筋肉中のタンパク質が分解されてエネルギーとして利用されてしまいます。それにより筋力の低下を招く恐れがあります。
しかし、運動や筋トレ前にBCAAを摂取しておくことによって、その摂取したBCAAがエネルギーとして利用されるので筋肉が消耗されるのを防ぐことができます。
ちなみに、BCAAがもたらすのは「筋肉消耗の低減」であり、「運動能力の向上」には直接の効果はないとされます。
運動中の疲労感の軽減
長時間の運動によって血中のBCAA濃度が低下すると、脳内に取り込まれるトリプトファンが増加することによって多くのセロトニンが生成されることになります。セロトニンは「幸福ホルモン」とも呼ばれ、精神の安定に大きく寄与する脳内物質ではありますが、運動時の疲労感を引き起こす原因ともなります。
従って、運動前や運動時にBCAAを摂取することによって疲労感を引き起こさずに運動を持続することが可能になります。
食欲不振の改善(ダイエット効果はない)
食欲不振に対して有効性が示唆されている。高齢で栄養不良の透析患者の食欲不振を軽減し、全体的な栄養状態を改善する。バリン、ロイシン、イソロイシンを含む分岐鎖アミノ酸を摂取すると、食欲およびカロリー摂取量が速やかに増加し、血中アルブミン値および身体計測値が向上する (PMID:11522870) 。
「健康食品」の素材情報データベース
BCAAの摂取は食欲不振で体が弱ってしまっている人への良き対処法となり得ます。
ちなみに、ダイエットサプリとしてBCAAが紹介されていることがありますが、BCAAには食欲を増加させる効果こそあれ、直接のダイエット効果は確認されていません。ではなぜBCAAがダイエットサプリとして扱われることがあるのかというと、運動時の疲労を軽減するので”楽に運動ができる”と宣伝されていることが理由です。BCAAを飲んだだけでは体重を減らす効果はありませんので注意しましょう。
躁病の改善
躁病に対して有効性が示唆されている。チロシン非含有で分岐鎖アミノ酸を含む飲料は、躁的興奮を6時間以内に軽減する。7日間摂取で、症状軽減が2週間以上継続する (PMID:12611783) 。
「健康食品」の素材情報データベース
うつ病に効果があるサプリメントは多く見かけますが、躁病に効果をもたらすサプリメントは珍しいように思います。BCAAには精神の安定作用もあるということでしょう。躁病で悩んでいる人には有力な選択肢となり得ます。
BCAAのその他の効果
・遅発性ジスキネジー(運動障害)に対して有効性が示唆されている
・慢性の肝性脳障害に対して有効性が示唆されている
で、BCAAは飲むべきなの?
BCAAに上記の効果があることはエビデンスレベルで確かめられていることですが、BCAAを摂取すべきかどうかについては賛否両論あります。賛成論者は上記効果を論拠にしています。
一方、否定論者における有力な主張は「日常生活において充分量が摂取できているから、わざわざサプリで摂る必要はない」というものです。たとえ負荷の高い運動をしているとしても、です。
本稿の結論としては「BCAAは無意味ではないけれど、優先的に摂らなくても良い」とします。BCAAにポジティブな効果があるのは確かだけれど、躍起になってサプリを飲まなければならないほど高い効果であるようには思えないからです。
ちなみに、代替サプリとして「アルギニン」「シトルリン」「オルニチン」のNO系筋トレサプリ三種の神器を挙げておきます。一酸化窒素(NO)の血管拡張による健康効果の発見はノーベル生理学・医学賞の受賞理由にもなっています(1998年、ルイス・イグナロ氏)。日々の健康増進はもちろん、筋トレサプリとしても極めて有用で人気があります。
BCAAに副作用はある?
BCAAは通常の食品中に豊富に含まれているものですので、安全性は非常に高いものです。試験では6ヶ月までのサプリメントでの摂取について安全性が確かめられていますので、長期摂取についても安全であると言えます。
長期的な過剰摂取は肝臓に負担をかけると恐れがありますので、適切な摂取量を遵守することが肝要です。
また、メープルシロップ尿症(分岐鎖アミノ酸が代謝されない先天性異常)患者はBCAAサプリの摂取は避けるべきです。
BCAAの基準摂取量
BCAAには決められた摂取量は特にないので、各サプリメントに記載されている摂取量を目安にしましょう。おおよそのBCAAサプリメントには1日に2,000mgの摂取目安と記載されています。
一般的なBCAAサプリメントにおいては「バリン:ロイシン:イソロイシン=1:2:1」の割合で配合されています。また、例えば「ロイシン」単体のサプリメントもありますが、BCAAサプリメントとして三種の分岐鎖アミノ酸を摂取するのが一般的です。
BCAAが含まれる食べ物
BCAAは必須アミノ酸であり、要するにタンパク質です。従って、野菜よりも、魚、肉、豆や乳製品に多く含まれます。
あまりにも偏った食生活をしていない限りBCAAは不足することはないと考えられています。意識してBCAAを摂取したい場合には、まぐろやかつおなどの赤身魚、レバー、鶏肉、ナッツ類を積極的に食べるようにしましょう。
BCAAを飲むタイミング
運動のためにBCAAを飲む場合、三段階の摂取タイミングがあります。
運動前
BCAAは摂取後30分で血中濃度がピークに達するので、運動を始める30分前に飲むことが望ましいです。
運動中
ジョギングなど長時間の運動では血中BCAAが減り続けてしまい、筋肉に負担をかけ、疲労感も増してしまうので、運動中にも補給することが望まれます。
運動後
運動後にBCAAを摂取することによって筋肉量が増加することがわかっています。タイミングとしては運動直後が最適です。
BCAAサプリと飲み合わせの良いサプリメント
上でも紹介しましたが「アルギニン」「シトルリン」「オルニチン」は運動・筋トレサプリとしても、日常の健康を維持・向上させるためにも、疲労感軽減のためにも鉄壁の科学的根拠をもっておすすめできるアミノ酸サプリです。
アルギニンはエナジードリンクに含有されていることが多いので名前だけでも聞いたことがあるかもしれません。シトルリンはみんな大好きスイカから発見されたアミノ酸です。オルニチンは肝臓の機能を改善することで有名ですが、体内には「オルニチン回路」という疲労物質を解毒するための仕組みが備わっており、オルニチンはそこで極めて重要な役割を果たします。
BCAAサプリの購入方法
BCAAサプリメントはグリコなどの国内メーカーからも発売されていますし、海外製のものも種類が豊富です。どちらかと言えば海外製のものの方がコストパフォーマンスに優れると思われますが、好みで選んでもらって構わないでしょう。
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▲BCAAに加えてシトルリンも含まれている筋トレサプリの決定版、圧倒的支持を受ける人気商品です。ガッツリ運動するつもりであればこちらがおすすめです。