【トリプトファンの10倍】5-HTPを3ヶ月間飲んでみた感想とその効果
はじめに5-HTPの3つの特徴
脳内物質セロトニンの原料となる
トリプトファンよりもセロトニンに変化しやすいので効果が高い
トリプトファンよりも高い安全性を目指して作られた
5-HTPとは?
5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)は脳内物質セロトニンの原料となるものです。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、正常に分泌されていることによって日々の幸福感やストレスに対抗する原動力となります。逆に、セロトニンの欠乏はうつ病の一因となることが知られています。
トリプトファンと何が違うの?
セロトニンの原料となるものとして広く知られているものに「トリプトファン」というアミノ酸がありますが、5-HTPはトリプトファンよりもセロトニンに変化しやすい構造になっていることが最大の特徴です。セロトニンに変化するまでの過程を下記に示します。
トリプトファン(→ナイアシン(ビタミンB3))
↓
5-HTP
↓
セロトニン
要点は2点あります。
1. トリプトファンはナイアシン(ビタミンB3)の原料にもなるので、体内でナイアシンが欠乏している場合にはセロトニンの生成が後回しになってしまう。
2. トリプトファンは体内で5-HTPに変化してからセロトニンが生成される。つまり、5-HTPを直接摂取することによってロスなく効率的にセロトニンの分泌が行われる。
また、生田哲『食べ物を変えれば脳が変わる』によれば、5-HTPはトリプトファンの10倍の効果があるとされ、抗うつに強く推薦されています。
5-HTPの原料は何?
5-HTPサプリメントはアフリカに自生するマメ科の木「グリフォニア・シンプリフォリア」から抽出されています。天然由来の成分であるということです。そもそも、5-HTPは1989年の「トリプトファン事件」(トリプトファンサプリメントが広く且つ深刻な健康被害を及ぼした事件)を受けて、より安全なメンタル系サプリメントを目指して開発されたものです。
5-HTPの効果
精神の安定
セロトニンは精神の安定に関わる脳内物質です。5-HTPの摂取によって「幸福感の上昇」「不安感の解消」「イライラの抑制」「リラックス効果」などが期待できます。
抗ストレス作用
人体にストレスがかかると、様々な脳内物質を分泌してそれに抵抗しようとします。ストレスホルモンの特にコルチゾールはメンタル、フィジカル共に人体に悪影響を与えてしまうからです。
しかし、強烈なストレスが長期的に負荷をかけてしまうと、それら脳内物質も底をついてしまいます。それはセロトニンも例外ではありません。そこでセロトニンの原料である5-HTPを定期的に摂取することによって、セロトニンを継続して分泌させることができ、ストレス抵抗の原動力とすることができるというわけです。
また、ストレスを原因とする食べ過ぎの抑制に効果があるとする研究結果も出されています。
抗うつ作用
ストレス等によってセロトニンの分泌が過少になってしまうことがうつ病の一因とされています。
うつ病治療薬の一つにSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)というものがありますが、これは脳内のセロトニンを「減少させない」作用によってセロトニン濃度を一定に保ち、うつ病を克服することを画策するものです。
5-HTPは正式なうつ病治療薬ではありませんがセロトニンを「増やす」ことでSSRIとは違うアプローチによってうつ病の克服を目指し得るものです。実際に、摂取された5-HTPがセロトニンに変換されることが確認されています。5-HTPは現在盛んに研究されており、うつ症状を改善したとするエビデンスも揃ってきています。
睡眠の質の向上
私たちがストレスによって寝付きが悪くなったり、眠りが浅くなったりしてしまうのは、セロトニンが不足してしまったがために充分量のメラトニンが生成できないという理由が考えられます。
セロトニンは夜になるとメラトニンという物質に変化し、眠気を誘発します。私たちが夜になると眠くなるのはメラトニンの働きによるものです。従って、セロトニンの原料である5-HTPは間接的にメラトニンの原料ともなるので、睡眠の質を向上させる働きがあります。
5-HTPに副作用はある?
5-HTPは安全なサプリメントとして開発されていますが、副作用がないわけではありません。
吐き気やめまい
最も多い副作用の報告は「吐き気を催してしまう」というものです。吐き気の他にもめまいや下痢という症状も報告があります。
はっきりとした原因はわからないのですが、これらは大量摂取をしてしまった際に発露する傾向にあるようですので、初めて5-HTPを摂取する際には少量から始めてみるのが良さそうです。
セロトニン症候群(うつ病治療薬やセントジョーンズワートとの併用は避ける)
セロトニンの過剰分泌による弊害に「セロトニン症候群」があります。主にうつ病治療薬を摂取した際に現れる症状です。
5-HTPはセロトニンを増やす働きをするものですので、うつ病治療薬(SSRI)やうつ病治療薬と同じ働きをするセントジョーンズワートとの併用は避けるべきです。
5-HTPの基準摂取量
一日に50mg〜100mgが適正量とされています。うつ状態の改善を目的にする場合、摂取上限は一日に400mg(朝昼晩など数回に分けて摂ることが要件)とされていますが、個人の判断で摂取するにはやや多すぎではないかと感じます。
上記副作用の懸念もあり、効果はトリプトファンの10倍ということを考慮すれば、まずは25mgなどの少量から初めてみて、50mg〜100mgという適正量を遵守することが肝要です。
5-HTPが含まれる食べ物
5-HTPは野菜や果物の中に含まれるとされますが、極めて少量に過ぎません。殆どない、もしくは全くないと言っても差し支えないでしょう。効果的な量を摂取するにはサプリメントに頼るしかないのが現状です。
但し、まずはバランスの良い食生活を心がけましょう。5-HTPを食事から摂取することができなくても、その前駆体であるトリプトファンは普通の食生活をしていれば不足することはないという意見もあります(福岡伸一『動的平衡』)。
それでも調子が悪いという場合はサプリメントで補助するのも有効であると思います。
5-HTPを飲むタイミング
5-HTPサプリメントを飲む最も良いタイミングは空腹時です。吸収率を最大限にするためです。特に朝イチはベストでしょう。
但し、吐き気などの副作用を考えれば、まずは食後などから初めてみるのがリスクが低いように思います。
5-HTPを飲んでみた感想
トリプトファンと比べてはっきりとした効果が現れるのが特徴であると感じました。気持ちが穏やかになり、リラックスできます。ストレスが溜まっていた時にうつ病再発の防止のために飲んでいたので、一定の効果はあったのかなと思っています。特に、怒りにくくなったのは大きな収穫でした。
5-HTPサプリメントはやや高価であり、私のうつ症状も回復したので、現在は日々の健康を底上げする目的でトリプトファンサプリを使用しています。どうしても気分が優れなかったり不安で鬱々としてしまったりしてしまう場合、5-HTPを試してみる価値は充分にあると思います。私もそのような事態になったら再び5-HTPを飲み始めようと思っています。
私の場合、吐き気等の副作用はありませんでした。飲んでいるうちに慣れるという報告もあり、副作用については個人差があるようです。
5-HTPサプリの購入方法
5-HTPは日本では医薬品に指定されているので、国内では流通していません。従って、私はiHerbにて購入しました。安い上に発送も迅速で、今でもサプリメントはiHerbで定期的に注文しています。