【抗うつ薬に比肩】セントジョーンズワートを3ヶ月間飲んでみた感想とその効果
はじめにセントジョーンズワートの3つの特徴
抗うつ薬と同等の効果があり副作用が少ない(エビデンスあり)
脳内のセロトニン濃度を一定に保つ作用がある
ドイツでは医薬品として認定されている
セントジョーンズワートとは?
セントジョーンズワート(St.John’s wort)はセイヨウオトギリソウ(西洋弟切草)という植物の抽出物で、古代ギリシャ時代から医療品として用いられています。
現代においてセントジョーンズワートが注目を集めたのは1980年代、イギリスの医療機関紙に「抗うつ薬と同等の効果がありながら、副作用が少ない」との報告がなされたことが発端です。それ以来、世界中で研究が尽され、セントジョーンズワートのうつ病への効果は確固たるものとなっています。
精神の疾患に用いられている民間薬の中で、セントジョーンズ・ワートほど精神医学の研究者によって研究されたものはないといってもよいでしょう
『誰も知らないサプリメントの真実』高田明和
セントジョーンズワートはサプリメントの他、ハーブティーとしても広く用いられています。
セントジョーンズワートの効果
抗うつ効果
セントジョーンズワートがうつ病に効果があるのは「ヒペリシン」「ヒペルフォリン(ハイパーフォリン)」の2種類の有効成分が脳内のセロトニン濃度を一定に保つ働きをするためです。
うつ病治療薬にはSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)という種類のものがありますが、これは脳内のセロトニンの「再取り込みを阻害する(=減少させない)」ことによって、うつ病を克服することを目指すものですが、セントジョーンズワートはこのSSRIと同じ働きがありながら、SSRIよりも副作用が少ないことが実証されています。
2008年に再びリンデらがまとめたメタアナリシスの結果では、ヒペルクム(=注:セントジョーンズワートの学名)はSSRIなどと同じくらいうつ病に効果があり、副作用はSSRIに比べて少ないことが認められています。
『誰も知らないサプリメントの真実』高田明和
抗ストレス作用
人体がストレスにさらされると脳内ではセロトニンを始めとするを放出してストレスに抵抗、精神を安定させようとするのですが、あまりにも甚大で長期的なストレスにさらされた場合、脳内のセロトニンは枯渇してしまいます。セロトニンが「幸福ホルモン」と呼ばれることからもわかるように、セロトニンの減少は私たちを不安にしたりイライラさせたりしてしまいます。
アメリカでは「サンシャインサプリ」として、ダイエット中などのストレスを緩和するものとして販売され、大変に人気が高いです。また、セロトニンはストレスによる食欲を抑える働きもあります。
不眠の解消
私たちが夜になると眠くなるのはメラトニンという脳内物質が分泌されるためです。で、このメラトニンは日中に分泌されたセロトニンが変化したものです。つまり、脳内に充分量のセロトニンが分泌していることが充分量のメラトニンを確保することに直結し、睡眠の質を向上させることができるということです。
ストレスが溜まって睡眠の質が悪化してしまった経験があると思いますが、それはセロトニンが不足していたためであると考えることもできます。脳内のセロトニン濃度を適正化するセントジョーンズワートは不眠の解消も期待できるというわけです。
その他の効果
『サプリメント健康事典』(一般社団法人 日本サプリメント協会)によれば、セントジョーンズワートには抗うつの他、次の効果も認められています。
■筋肉を和らげる効果
月経痛・月経不順を緩和
■消化器系疾患の治癒
胃潰瘍など治癒促進
■消毒作用や鎮痛作用
切り傷・火傷の治癒、リウマチや神経痛・坐骨神経痛の緩和
■HIVウイルスを始めとするレトロウイルスの増殖を妨げる
セントジョーンズワートに副作用はある?
セントジョーンズワートは抗うつ薬に比べて副作用が少ないとは言え、服用に際しては下記の点に注意が必要です。
医薬品との併用には注意が必要
鎮痛薬、抗うつ薬(SSRI)、強心薬、ピル、気管支拡張薬、抗てんかん薬、抗HIV薬、抗不整脈薬、血液凝固防止薬などの薬を処方されている人は、セントジョーンズワートと併用することで薬の効き目が弱くなったり副作用が発現したりする場合がありますので注意が必要です(『サプリメント健康事典』より)。
セントジョーンズワートと医薬品との相互作用については「(セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)と医薬品の相互作用について|厚生労働省)」にて正式に厚生労働省から通達が出ています。
併用に注意すべきサプリメント
セントジョーンズワートとの併用によって副作用があると示唆されているサプリメントには下記が挙げられます。
・GABA
・SAM-e
・バレリアン・ルート
・L-トリプトファン
・5-HTP
これらのサプリメントは抗うつ薬SSRIとの併用を避けるべきであるという見解があるもので、SSRIに似た働きをするセントジョーンズワートとの併用にも注意が必要であるということです。
特に、セロトニンの原材料である「L-トリプトファン」はうつ病予防・治療を目的として広く知られているものですが、セントジョーンズワートと併用してしまうと、脳内のセロトニン濃度が過剰分泌されてしまう「セロトニン症候群」を引き起こし、頭痛などの弊害をもたらす可能性があります。いずれも人気のサプリメントであるので併用には注意しましょう。
妊娠中・授乳中の女性は服用を避けるべき
ネイティブアメリカンの間ではセントジョーンズワートは妊娠中絶薬として用いられていたようです。その効果の程はわかりませんが、セントジョーンズワートの妊娠中・授乳中における安全性は確認されていないので、避けたほうが無難です。
セントジョーンズワートの基準摂取量
セントジョーンズワートの一日の基準摂取量は500mg〜900mgとされています。上限は一日1800mgです。多く摂っても劇的な効果があるわけではないので、サプリメントに表示されている用法用量を遵守するようにしましょう。
セントジョーンズワートを飲むタイミング
セントジョーンズワートを飲むのにベストなタイミングは特にないようです。300mg程度を一日三回に分けて摂るのが一般的です。
ただ、効き方やライフスタイルには個人差があるでしょう。朝飲むと気分が良いという人もいれば、夜に飲むとよく眠れるという人もいます。いろいろと試してみてベストな飲み方を見つけてみてはどうでしょう。ちなみに私は朝と夜に飲んでいました。
セントジョーンズワートが効かない?考えられる3つの原因
セントジョーンズワートのカスタマーレビューなどで「全然効かない」という意見を目にすることがあります。これには3つの理由が考えられます。
1. セントジョーンズワートは「中軽度の」うつ症状を緩和する
セントジョーンズワートは重度のうつ病患者への効果は実証されていません。あくまでも「中軽度の」うつ症状に効果があるというものです。重度の症状が見られる人や、うつっぽいけれどセントジョーンズワートが効かないという人はさらに症状が悪化する前に医師による診察をしてもらいましょう。
2. セントジョーンズワートは長期的な服用で効果が現れる
うつ病治療薬SSRIが長期(1週間から1ヶ月程度)の服用によって効果を表し始めるのと同様、それと同じ働きをするセントジョーンズワートも長期の服用によって効果が現れるものです。即効性は期待できないと思って良いでしょう。数日で効果が出なくてもしばらく続けてみてはどうでしょう。
3. セントジョーンズワートは「セロトニン」濃度を一定に保つ作用がある
うつ病の原因には様々あって「セロトニン不足」はその一因に過ぎません。具体的には「ノルアドレナリン不足」や「フェネチルアミン不足」もうつ症状を引き起こす原因となります。
従って、セントジョーンズワートでうつ症状が改善されない場合はセロトニン不足が原因でないうつ病である可能性があります。こちらも悪化する前に病院を受診してもらいましょう。
ちなみに、当サイトでも取り上げているL-フェニルアラニンという必須アミノ酸は上に挙げた「フェネチルアミン」の原材料となります。
セントジョーンズワートを飲んでみた感想
セントジョーンズワートは即効性を感じたわけではありませんが、継続して飲むうちに気分がやんわりとしてきたのを覚えています。活動的になるというよりは、リラックス効果があったという感じです。
現在は他のサプリメントを試しているので服用はしていませんが、しっかりとしたエビデンスに裏付けされている数少ないサプリメントのうちの一つで、薬局などで手軽に入手できるので、うつ予防やストレス対策に試してみる価値はあると思います。
そして何より価格が安い。しっかりとした効果が実証されているのにお財布に優しいという奇跡のサプリメントです。
セントジョーンズワートサプリの購入方法
ドイツでは医薬品扱いのセントジョーンズワートですが、日本では国内メーカー産のものを薬局で入手することができます。価格も非常にお手頃です。また、セントジョーンズワートには輸入品もあり、こちらはさらにコストパフォーマンスが高いです。どちらか好きな方を購入すると良いでしょう。
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▲日本で最も人気のセントジョーンズワートサプリメント。価格もお手頃なので初めての人はこれ一択でしょう。
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▲セントジョーンズワートのハーブティーです。リラックスしたひとときにおすすめです。
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