ビタミンCオーバードーズの健康効果と副作用を検証する

ビタミンCについては栄養素の中でも最も研究がされ尽くされている一つですが、それでも「ビタミンCの大量摂取は健康に良い」「いや、ビタミンCの大量摂取は意味がない」という見解で割れているのが現状です。

本稿はビタミンCのオーバードーズ(大量摂取)についての見解を公平な立場でまとめていくものです。結論から言えば「ビタミンCの大量摂取、やってみてもいいかもしれない」というところに落ち着いています。

はじめに:ビタミンCの大量摂取に重篤な副作用はない

世論で割れているのは「ビタミンCの大量摂取は健康に良い」と「ビタミンCの大量摂取は意味がない」という意見であり、ここに「ビタミンCの大量摂取は健康に悪い」という意見がないことは注目に値します。

剰余分は速やかに排出される、軽微な副作用の報告はある

ビタミンCは過剰摂取分は速やかに体内から排出されるので、大量に摂取しても安全であると言われており、それは事実です。但し、頭痛や下痢などの軽微な副作用が報告されているのも事実です。

鉄の吸収過剰、摂取をやめた際の壊血病リスクは寡聞

その他、鉄の吸収過剰を引き起こすという理論的な見解がありますが、健康人では影響がないとされています。大量摂取をやめた際に壊血病を誘発するとの見解もありますが、症例は寡聞です。

腎不全と尿路結石のリスクにはエビデンスがない

ビタミンCの過剰摂取は腎不全や尿路結石の原因になるという説もありましたが、腎不全については完全に否定、尿路結石についてはむしろビタミンCによって治癒するのではないかとの学説も出されており、リスクとしては低く見積もって構わないでしょう。

つまり、大量摂取による重篤な健康被害はない

この通り、ビタミンCの大量摂取については頭痛や下痢などの軽微な一過性の副作用以外は心配しなくてもいいのではないかと思われます。特に重大な健康被害はありません。この場合の「大量摂取」の基準量は後に示します。

 

「大量摂取で健康になる」派の見解

『ビタミンCの大量摂取がカゼを防ぎ、がんに効く』(生田哲/講談社+α新書)が最も読みやすく、説得力のある書籍です。本書の内容と生田哲の他の著書などを参考にすれば、ビタミンCの大量摂取には下記の効能があるとのことです。

 
・ビタミンCを1g×1日4回を摂取する(1日計4,000mg)
・2005年の論文でビタミンCがガンに効くことが決定づけられ、論争に終止符が打たれた
・風邪の治癒を早める効果がある(予防する効果はない)
・脳内に大量に存在し、うつ病や総合失調症を改善する
・脳内の鉛などの重金属を体外へ排出し解毒する

 

「大量摂取は意味ない」派の見解

アメリカではビタミンCの摂取上限量は1日2,000mgと定められています。日本でも厚生労働省によってサプリメントなどから1日1,000mg以上の摂取は推奨できないとされています。ちなみに、厚生労働省による摂取推奨量は1日100mgです。

しかし、調べた中では「とにかく健康を害する可能性がある」「とにかく意味がない」以上の論理的な理由を見つけることができませんでした。ビタミンCは極めて安全性の高い栄養素であり、不要分は速やかに体外へ排出され、冒頭でも述べた通りに重篤な健康リスクはありません。

おそらく、「健康を害する」とは下痢や頭痛などの軽微な副作用を論拠にしているものと思われます。「意味がない」とは「まだ多くの研究によってエビデンスレベルで実証されていない」ということでしょう。確かに、未だにビタミンCの大量摂取による健康効果は有力な一説に過ぎないことは認めるべきでしょう。

国によって1日1,000mg〜2,000mgが上限であると定められているのは事実であるので、留意しておく必要はあります。今後、研究が進めば方針が変わるかもしれません。

 

その他、ビタミンCについて知っておくべきこと

・平成27年国民健康・栄養調査によれば、日本人におけるビタミンCの平均摂取量は1日97.9mgであった。推奨摂取量(1日100mg)に少し欠ける程度である。

・喫煙者は大量のビタミンCが体内で消費されるので不足しがちである。

・野菜や果物をあまり食べないなど、食生活が偏っている人も不足しがちである。

・激しい運動やストレス、病気感染によっても体内で大量に消費され、不足しがちになる。

・ビタミンCは摂取後4時間程度で排出されてしまうので、サプリメント等で補う際には1日に何回かに分けて摂取することが推奨される。上述の大量摂取の例で「1g×1日4回」とわけられているのはそのため。

 

で、ビタミンCの大量摂取はおすすめできるの?

本稿における結論は下記3点に集約されます。

 
1. ビタミンCの大量摂取(1g×1日4回)は極めて有力な一説である。少なくともトンデモ仮説ではない。しかし、医学的に完全に認められている状況ではない。今後の研究が待たれる。

2. ビタミンCは大量に摂取しても重篤な健康リスクはない上に、人体の心身の健康にとって必要不可欠な栄養素であるので、大量摂取を試してみる価値は充分にある。その際には1日1000mg〜2000mgを数回にわけて摂取してみるところから初めてみるのが良いと思う。

3. 普段からビタミンCが不足しがちな人はサプリメントでの補助が是非とも推奨される。大量摂取に健康リスクはないが、不足には免疫系やメンタルなどに大きな健康リスクを及ぼす。

 
というわけで「ビタミンCの大量摂取、やってみてもいいかもしれない」という結論に至っております。副作用がないというところが私的にはポイントが高く、早速ビタミンCサプリを注文したところです。

 
関連記事:

【王道にして神サプリ】ビタミンCの効果と飲んでみた感想

 
参考文献:

 
参考サイト:
ビタミンC|Wikipedia
ビタミンC|海外の情報|「総合医療」情報発信サイト
ビタミンC|「健康食品」の素材情報データベース
ビタミンCにできること、できないこと|パレオな男

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