あなたの知らない「うつ病」改善にエビデンスのあるサプリメント5選

1. SAM-e ―脳内物質のメチル化を促進する

SAM-e

SAMeは、軽度から中等度のうつ病に対して用いられる。1970年代以降、数多くの臨床試験によってSAMeの抗うつ作用が示されてきた。1994年にまとめられたデータによると、合計1170名を対象にした臨床試験の結果、医薬品と同等かそれ以上の効果が認められた。

『サプリメント事典 第3版』(蒲原聖可、平凡社、P274)

SAM-e(SAMe、サム・イーまたはサミー)は「S-アデノシル-メチオニン」というアミノ酸の一種で、生体から発見された天然の物質です。

SAM-eの作用メカニズムは脳内物質の「メチル化」を促進することです。例えば、L-トリプトファンは脳内物質セロトニンの原料になるとして人気のサプリメントですが、体内では下記のように変化していきます。

 
L-トリプトファン
  ↓
5-HTP
  ↓
セロトニン
  ↓
メラトニン(睡眠を司るホルモン)

 
このように変化していく過程においてSAM-eのメチル化作用が関与しています。極端な話、SAM-eがなければトリプトファンを摂取してもセロトニンが生成されないということです。また、セロトニンだけでなく、ノルアドレナリンやホスファチジルセリンなど多数の脳内物質の生成に関与しています。なかなか聞き慣れない物質かもしれませんが、SAM-eはうつ病改善に非常に重要な役割を果たしています。

数多くの臨床試験においても、SAM-eは「抗うつ薬よりも効果が高く、副作用が少ない」との結果が出ています。『サプリメント事典 第3版』ではうつ病に効くサプリメントとしてこのSAM-eと下記のセントジョーンズワートが双璧として挙げられています。

 
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2. セントジョーンズワート ―セロトニンを死守する

st-johns-wort

2008年に再びリンデらがまとめたメタアナリシスの結果では、ヒペルクムはSSRIなどと同じくらいうつ病に効果があり、副作用はSSRIに比べて少ないことが認められています。

『誰も知らないサプリメントの真実』高田明和

ヒペルクムとは、和名をセイヨウオトギリソウと呼ばれる植物セントジョーンズワートの学名。SSRIはセロトニン再取り込み阻害薬に分類される抗うつ薬の一種で、脳内のセロトニン濃度を一定に保つ作用をもたらすものです。

セントジョーンズワートがセロトニン不足によるうつ病を改善することは多くの論文によって示されており、その効果に疑問の余地はありません。作用メカニズムは上述の通り、脳内のセロトニンを「減らさない(つまり、濃度を一定に保つ)」ことによるものです。セロトニンは「幸福ホルモン」とも呼ばれ、心の安らぎをもたらす脳内物質です。

 
セントジョーンズワートはドイツなどでは医薬品扱いですが、日本ではサプリメントとしてドラッグストアなどで気軽に購入することができます。アメリカでもサプリ扱いで「サンシャインハーブ」と呼ばれて人気があります。

ちなみに、セントジョーンズワートが効かないというレビューを見かけることがありますが、これは下記三点によるところが大きいです。

 
1. セントジョーンズワートは軽中等度のうつ病を改善する
重度のうつ病への効果は確認されていないのが現状です。

 
2. セントジョーンズワートは長期摂取で効果が出る
セントジョーンズワートに即効性はないと考えて差し支えありません。2週間〜1ヵ月程度摂取し続けることによってじわじわと効果が現れます。

 
3. セントジョーンズワートはセロトニンにのみ作用する
うつ病の原因は大きく3種類にわけられます。すなわち「1.セロトニン不足」「2.ノルアドレナリン不足」「3.フェネチルアミン不足」です。セロトニン以外の脳内物質が不足している場合のうつ症状にはおそらく効果がありません。「2.ノルアドレナリン不足」「3.フェネチルアミン不足」のうつ病対策については、下記の「フェニルアラニン」の項で述べます。

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3. 5-HTP ―副作用の少ない最高の抗うつ物質

5-htp

スイスにある精神医療大学のウォルター・ボルディンガー教授のグループは、5-HTPが抗うつ薬SSRIよりもうつの改善に効果的であることを報告した。
まず、うつ患者を2グループに分け、一方には抗うつ薬SSRI、もう一方には1日300mgの5-HTPを6週間摂取してもらった。
こうして、うつ、不安、不眠について、両者の効果がくらべられたが、どの面においても5-HTPがSSRIよりはるかにすぐれ、しかも副作用はなかったのである。

『食べ物を変えれば脳が変わる』生田哲、PHP新書、P36

上のSAM-eの項で少し触れましたが、5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)はセロトニンの直接の原料となるものです。L-トリプトファンよりもセロトニンへと変化するステップが少ないのが特徴で、効率よくセロトニンを生成することができます。その効果はL-トリプトファンの10倍と言われます。

5-HTPはアフリカに自生するマメ科の木「グリフォニア・シンプリフォリア」の抽出物であり、天然の物質です。上で紹介したセントジョーンズワートがセロトニンを「減らさない」というアプローチでうつ病克服を画策するものであるのに対し、5-HTPはセロトニンを「増やす」ことで対応するものです。方法の違いであり、優劣はありません。

 
但し、両方を同時に摂取してしまうとセロトニンが過剰分泌されてしまう「セロトニン症候群」に陥ってしまう可能性があるので、どちらか一方だけに留めておくことが要請されます。

『食べ物を変えれば脳が変わる』において薬学博士である著者の生田哲氏は、5-HTPを「副作用の少ない最高の抗うつ物質」として紹介しています。

 
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4. DHA(ω-3脂肪酸)―脳内物質の伝達力を高める

dha-epa

台湾の高雄大学のリンらは、1966年から2006年までに行われた10の研究、329人に対するメタアナリシスを行いました。すると、n-3脂肪酸を投与することで、うつ状態が3割程度軽減する効果が見られたのです。n-3脂肪酸には、明らかにうつ病に対する効果があるようです。

『誰も知らないサプリメントの真実』(高田明和、朝日新書、P92-93)

DHAはω-3脂肪酸の一種ですが、ここでは便宜上DHA(ω-3脂肪酸)と表記します。DHA(ω-3脂肪酸)特に青魚に多く含まれる植物性の油脂です。さて、ここで2つの疑問があるでしょう。

 
1. 何で魚に含まれるのに植物性油脂なの?
DHA(ω-3脂肪酸)はαリノレン酸が変化して生成されたものです。αリノレン酸とは植物性の油脂で、海藻や植物性プランクトンなどに含まれます。それらをエサとして食べた魚の体内でαリノレン酸がDHA(ω-3脂肪酸)に変化するというわけです。魚に含まれる脂肪酸であると言えど、原料は植物であるということです。

 
2. 脂肪なのになぜ体にいいの?
DHAは脂肪酸の一種です。脂肪というと身体に悪さをして健康を損ねるイメージがありますが、ω-3脂肪酸は例外。それは、潤滑油のような働きをするからです。例えば、自転車や機械の動作が良くない時、私たちは油を挿します。すると、それまでギイギイと言っていた自転車のチェーンの滑りが良くなるというわけです。

DHA(ω-3脂肪酸)は固まりにくいという性質があるので、私たちの身体における特に血液の流れをスムーズにする作用があります。また、ω-3脂肪酸の中でも特にDHAは脳に多く存在しており、血流を良くする他、細胞膜を柔軟に保ちます。これらの作用によって受容体が神経伝達物質を受け取りやすくなるというわけです。

 
脳内でセロトニンが生成されても、それが受容体に受け取られなければ意味がありません。クルマにガソリンを入れても、タンクに穴が空いて漏れていたら意味がないということ。

DHA(ω-3脂肪酸)を摂取する最も良い方法は魚を食べることです。しかし、ライフスタイルによっては毎日食べることもできない人も多いでしょう。そんな人はサプリメントによる補助を活用しましょう。DHA(ω-3脂肪酸)はサプリメントの定番にして鉄板です。

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5. L-フェニルアラニン ―両手に花のイケメンサプリ

phenylalanine

ドイツにあるウルツバーク大学のヘルマット・ベックマン教授は。40人のうつ患者を2つのグループに分け、一方のグループには1日150〜200mgのフェニルアラニンを、1ヵ月間摂取してもらい、片方のグループにイミプラミン(抗うつ薬)を同期間摂取してもらった。その結果、2グループとも、気分の落ち込み、不安、睡眠障害が同じ程度に軽減されていた。

『食べ物を変えれば脳が変わる』(生田哲、PHP新書、P194)

うつ病の原因は主に3種類にわけられると先述しましたが、このL-フェニルアラニンはそのうちの2種類に関与します。

 
1. ノルアドレナリンの原料となる
セロトニンが「幸福感」の源となる抗うつ物質であったのに対し、ノルアドレナリンは「やる気」の源となります。大舞台の前などに心拍数が上がってやる気が出てくることを「アドレナリンが出てきた」と表現することがあります。これはまさにその通りで、アドレナリンは心拍数を上げるなど身体的な作用を、それに対してノルアドレナリンは「よし、やるぞ」という精神的な作用を発揚するものです。

抗うつ薬の中にはSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)の他に、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)というものがあって、文字通り脳内におけるセロトニンとノルアドレナリンの濃度を「減らさない」で一定に保つ作用があります。

で、L-フェニルアラニンはノルアドレナリンの原料となるものですので、ノルアドレナリンを「増やす」というアプローチで抗うつに貢献します。ちなみに、スマドラとしても人気の「チロシン」「N-アセチルチロシン」もノルアドレナリンの原料です。

 
2. フェネチルアミンの原料となる
L-フェニルアラニンの最大の特徴としては上記のノルアドレナリンの他、「フェネチルアミン」の原料にもなるということです。フェネチルアミンは「恋愛ホルモン」とも呼ばれる非常に強力な脳内物質で、私たちに多幸感をもたらします。フェネチルアミンが不足していて不調である状態は「第三のうつ病」と言われることもあります。

フェネチルアミンレベルの低いうつ病患者40人にフェニルアラニンを投与したところ、31人に症状の改善が見られたという報告があります。

ちなみに、上に挙げた「チロシン」「N-アセチルチロシン」からはフェネチルアミンは合成されません。L-フェニルアラニンはノルアドレナリンとフェネチルアミンの両方の原料になるので一石二鳥、一挙両得なサプリメントであると言えます。

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